携帯は哀しくもゴミ箱の中に葬られ、
うちはショックで明後日の方角を眺めていた。


「いつまでバカ面引っさげてんの。
 さっさと帰るぞ」

「それが、人の携帯を壊したやつのセリフか!」

「あ~、お腹へった」



友達、やめようかな…

思えば、何でうちこんなゴーイングマイウェイな奴と友達なんかやってんだろ。

一緒にいていいことなんてあった記憶がない。

死にかけた記憶ならたくさんあるけど。


はぁ…誰かこいつに勝てる人いないかなぁ。

誰か……あっ。


いるじゃん、一人。


そうだ!

あの人に頼めばいいんだ!!


「柊さ―」


瞬間、頬を何かが高速で掠めた。

ぽた‥と床に血が一滴流れ落ちる。


死んだ。

うちは今一回死にかけた…!


「今、何か言った?」

「い、いいいいえ!何も言ってません!!!」


気のせいかな。

美葉の背後に変なオーラが。


いやいやいや!

ここ三次元だよ!?

二次元じゃあるまいし…


「次、言ったら、地獄に叩き――」


その時、美葉の視線が一点でフリーズした。

その方向を見れば、


「ひ、ひ、ひ、柊ぃぃぃいっっっ!?」


噂をすれば何とやら。