「で、話戻すけど、誰なの?
 けっきょく」

「………」


沈黙していると、美葉は軽く頷き、言った。


「黙秘権行使、ってわけね。
 この私にいい度胸してんじゃん」


にやりと妖しい笑みを浮かべ、美葉はパチンッと指を鳴らした。

すると、どこからともなく懐中電灯が飛んできて美葉の手の中にすっぽりと収まる。

そして、カチッと電気が消され、さながら刑事ドラマの一場面の様にバンッと机が叩かれた。

上からは懐中電灯が顔に向かって照らされている。



「さっさと吐いた方が楽になるぜ、姉ちゃん」


どこのチンピラだ。と、つっつこまざるをえない喋り方をする美葉だった。




「ふーん…本当に喋らないつもりなんだ」


30分程経ったとき、美葉が唐突に呟いた。

電気がつけられ、美葉は考え込むようにイスの上で足を組んでいる。


「美――」


ちょっと悪かったか、と思い、謝ろうとした瞬間、突然美葉が勢いよく立ち上がった。

そして、携帯を取り出して勢いよく番号を打ち出した。


携帯持ってくるのは校則違反、と言わせる隙もない。


「―あ、かや?」


相手はどうやら美葉の妹、槍乃 かやのようだった。


てか、この姉妹は校則違反しすぎだ。

しかも、かやは女バレだろ。


…………ん?かや??


その瞬間、あいつが何をしようとしているのか分かった。

かやはあいつの妹だから、当然普通の人間と軸が一本も二本もズレてる。

そんなかやの特技、それは‥


「調べてほしいことがあるんだけど」


情報収集。