「頼みっていうのはね───・・」


かくかく、しかじか。

塾に入ることになったキッカケから昨日までをかいつまんで話す。

恐れ多くも王子のお昼休みにお邪魔しちゃっているワケだし、厚かましくもお願いに来たワケだし。

笑われたことは頭の隅っこに置いといて、とりあえず話だけでも聞いてもらわなきゃ。





そうして話すこと約10分。

じっとあたしの話に耳を傾けて聞いてくれた王子は・・・・。


「なるほど。だから俺に数学を教えてもらいたいってことか」

「うん。・・・・それで、いかほど」

「いいよ。理系は得意だし、江田さんの力になれるなら」


王子ぃ〜!!

あんたって人は・・・・!

あんたって人は・・・・っ!!

持つべき人は優しい王子だぁ。


「ありがとぉ〜。今、浅野君が神様に見えたっ!」

「ははっ。それは大げさだって。それくらい当たり前だよ」

「いやいや、ホント!マジで!」


かくしてあたしは、俺様魔王の居残り対策として王子に数学を教えてもらえることになりました。