「しーっ! 図書館じゃその声はちょっと大きいかな」

「ぁっ!」


王子に会えたことで、あたしの声は大きくなってしまったらしい。

重そうな本を何冊も抱えた格好で出てきた王子は、器用に片腕で持ち直し、人差し指を立てた。


「まぁ、生徒はだいたい俺しか来ないけど、ここで昼寝をする先生がいるんだ。起こしたら後が怖そうなんだよね。だから、ね?」

「うん、分かった」


そっか。

そんな先生が1人くらいいても全然おかしくないよね。

どんな先生だろう。

おじいちゃん先生かな。


「で? 今日はどうしたの?」

「うん、浅野君に頼みがあって。居残り対策、を・・・・」

「居残り対策?」

「そう。今日の遅刻の原因も、その居残りのせいだったり」


そう言うと、王子はプッと笑いながら適当な席を勧めてくれた。

そんなにあたし、おかしい?

そりゃ、頭も洗えなかったし寝癖を直す暇さえなかったけど。


「笑わないでよ。これでも必死なんだからね、あたし」

「ごめんごめん」


んもー。