36.8℃の微熱。

 
先生のロマンチストな一面が移ったのかもしれない。

星なんて見上げないあたしが、今日は見たいなんて思うんだもん。・・・・不思議。


「それじゃあ、ごちそうさまでした。おやすみなさい」


シートベルトを外し、車を降りようとドアに手をかける。

いくら俺様な魔王だってお礼くらい言わないと。礼儀礼儀。

すると───・・。


「それだけ?」

「はい?」

「言葉で済まそうと思ってんの? なんだかなぁ〜」


出たー!俺様!!

ただで帰してもらえるはずなんてなかったのね・・・・。

さっきまでのロマンチストから一変、先生は口元をニタァとさせてあたしを見ている。


「お、お茶でも?」

「そうだね。ついでに晩ご飯も頂こうか。細田のラーメンじゃ物足りないし」


だからさぁ、食べられなくしたのは先生でしょうが!!

なんで塾の先生にウチのご飯ごちそうしなきゃならないワケ!?

こんな横暴がありますかっ!

家まで残り200メールをゆるゆる走る車の中で、あたしは途方に暮れて星を見上げてしまった。