先生のロマンチストな一面が移ったのかもしれない。
星なんて見上げないあたしが、今日は見たいなんて思うんだもん。・・・・不思議。
「それじゃあ、ごちそうさまでした。おやすみなさい」
シートベルトを外し、車を降りようとドアに手をかける。
いくら俺様な魔王だってお礼くらい言わないと。礼儀礼儀。
すると───・・。
「それだけ?」
「はい?」
「言葉で済まそうと思ってんの? なんだかなぁ〜」
出たー!俺様!!
ただで帰してもらえるはずなんてなかったのね・・・・。
さっきまでのロマンチストから一変、先生は口元をニタァとさせてあたしを見ている。
「お、お茶でも?」
「そうだね。ついでに晩ご飯も頂こうか。細田のラーメンじゃ物足りないし」
だからさぁ、食べられなくしたのは先生でしょうが!!
なんで塾の先生にウチのご飯ごちそうしなきゃならないワケ!?
こんな横暴がありますかっ!
家まで残り200メールをゆるゆる走る車の中で、あたしは途方に暮れて星を見上げてしまった。


