36.8℃の微熱。

 
ハッとして横を見ると、先生は真っすぐ前を見たままニヒッと口角を上げて笑った。

これは・・・・う〜ん、何の顔だ?

励ましてくれているのか、またバカにしようとしているのか、どっちにも見える微妙な感じ。


「そんな顔してません!あたしは元から元気ハツラツなんです!」

「ふ〜ん。そうやって強がる江田ちゃんもらしいけどね」

「ホントに泣きそうになんてなってませんってば!」

「はいはい」


何なんだこの人、1人で楽しそうな顔しちゃってさ。

なんか腹立つ。


最近のあたしは、先生のせいで疑い深くなってきている。

騙されてたまるもんかと裏を読む癖ができつつあって、今の場合は「ありがとうございます」って言ったら何か交換条件を突きつけられそうな気がしたんだ。

「おごったし家まで乗せてやってるんだから、塾に入りたそうな人を見つけてこい」みたいな。

だから、泣きそうになってはいたけど逆のことを言った。


けれど先生は、楽しそうな顔を崩さないままで。

今のところ、危険視している交換条件は出しそうにない。