36.8℃の微熱。

 





「ラーメンじゃ腹いっぱいになんなかったな〜」

「何言ってんですか。半分以上ブヨブヨにして食べられなくした人が。当然です」

「江田ちゃんの話で思った以上に盛り上がっちゃってねぇ。まぁ、楽しかったからいっか」

「・・・・あたしは全然楽しくなかったですけど」


ラーメン屋さんからの帰り。

あたしは今、塾で言った通り、先生の車で送ってもらっている。

お金がなくてナビを付けられないという先生の代わりに、乗りたくもない助手席でナビをしながら。


「先生、そこ右です」

「はいはい〜」


・・・・っていうか、なんでこんなにご機嫌なんだ、先生。

何気に後が怖いんだけど。

はっ。

細田さんとおしゃべりしたことが嬉しかったとか? そうなのか?

あたしはただ恥をかきに行ったようなものだったけどね。ふんっ。


「ところで江田ちゃん」

「なんですか」


信号が青に変わると同時に右にハンドルを切った先生が口を開く。


「ちょっとは元気出た? 塾で泣きそうな顔してたけど」