「ラーメンじゃ腹いっぱいになんなかったな〜」
「何言ってんですか。半分以上ブヨブヨにして食べられなくした人が。当然です」
「江田ちゃんの話で思った以上に盛り上がっちゃってねぇ。まぁ、楽しかったからいっか」
「・・・・あたしは全然楽しくなかったですけど」
ラーメン屋さんからの帰り。
あたしは今、塾で言った通り、先生の車で送ってもらっている。
お金がなくてナビを付けられないという先生の代わりに、乗りたくもない助手席でナビをしながら。
「先生、そこ右です」
「はいはい〜」
・・・・っていうか、なんでこんなにご機嫌なんだ、先生。
何気に後が怖いんだけど。
はっ。
細田さんとおしゃべりしたことが嬉しかったとか? そうなのか?
あたしはただ恥をかきに行ったようなものだったけどね。ふんっ。
「ところで江田ちゃん」
「なんですか」
信号が青に変わると同時に右にハンドルを切った先生が口を開く。
「ちょっとは元気出た? 塾で泣きそうな顔してたけど」


