あたしの怒りはスルーですか。
細田さんまでそうなんですか。
あたし、何のためにここにいるんだろう。・・・・誰か教えて。
「残念ってなんだよ」
「茜ちゃんからしたら残念だろうが。かわいそうになぁ。もうちょい優しくしてやれよ」
「俺は十分優しい。それが分からないこいつがガキなんだ」
「あんれま〜、俺様ですな」
「うるせー」
またもやあたしをほったらかしてプチ口論を始めるこの2人。
なんか、もういいや。
奥さんがいようが子どもがいようが、先生の友だちはやっぱり先生の友だちだった。
そこのところに妙に納得してしまったあたしは、とたんに怒る気がシュ〜としぼんだ。
「柊の愛情表現はちょっとつき合っただけじゃ分かんないもんな」
「うるせー、豚骨スープ」
あたしはしばし、2人の会話を聞き流しながら考えてみる。
先生は細田さんが“お気に入り”って言ったことより“残念”のほうに食いついていたよね。
先生のお気に入り・・・・ねぇ。
それって本当?
あたしにはさっぱりだ。


