今年の初雪がイブなんて、神様もなかなか空気が読めているよ。
なんて。
あたしの後ろでは、外に出てきた生徒たちが「雪だ!」「ホワイトクリスマスだ♪」とガヤガヤ騒ぎはじめていて。
相変わらずの危機的状況に、なんら変わりはないのだけど。
「ま、いっかな」
どうしてかな。
ふわり、ふわりと降り注ぐ雪を見ていると、先生と同じようにあたしにもスッと覚悟が決まった。
と、そのとき・・・・。
「江田ちゃん、おいで!」
大好きな声があたしを呼んだ。
声のほうを見ると、黒丸から降りた先生が助手席のドアを開け、あたしに向かって微笑んでいる。
もぅ・・・・。
こんな大胆なことしちゃって。
先生って意外と王子様系? 俺様魔王だとばかり思ってきたけど、実はそうでもないのかも。
だけど、王子様でも俺様でも、あたしが惚れちゃっているから・・・・どんな先生でも大好きなんだ。
「うんっ!! 今行く!!」
そう笑って返事をして、あたしは先生へと1歩1歩、幸せを噛みしめながら歩みを進めた。


