36.8℃の微熱。

 
今年の初雪がイブなんて、神様もなかなか空気が読めているよ。

なんて。

あたしの後ろでは、外に出てきた生徒たちが「雪だ!」「ホワイトクリスマスだ♪」とガヤガヤ騒ぎはじめていて。

相変わらずの危機的状況に、なんら変わりはないのだけど。


「ま、いっかな」


どうしてかな。

ふわり、ふわりと降り注ぐ雪を見ていると、先生と同じようにあたしにもスッと覚悟が決まった。

と、そのとき・・・・。


「江田ちゃん、おいで!」


大好きな声があたしを呼んだ。

声のほうを見ると、黒丸から降りた先生が助手席のドアを開け、あたしに向かって微笑んでいる。

もぅ・・・・。

こんな大胆なことしちゃって。

先生って意外と王子様系? 俺様魔王だとばかり思ってきたけど、実はそうでもないのかも。

だけど、王子様でも俺様でも、あたしが惚れちゃっているから・・・・どんな先生でも大好きなんだ。


「うんっ!! 今行く!!」


そう笑って返事をして、あたしは先生へと1歩1歩、幸せを噛みしめながら歩みを進めた。