「バレたらバレたでいいんだよ、もともとその覚悟で江田ちゃんにキスしたんだから。表に出て待ってな、車出してくる」
そして、あたしの頭をクシャッと撫でると、受付の前を横切り職員室へ続くドアの向こうへ消えた。
そんな悠長な・・・・。
先生の“覚悟”はもちろん嬉しいけれど、ずっと隠し通すことはきっと不可能だけれど。
いいの? 先生は大丈夫なの?
今さら自分のしたことにすごく怖くなって、あたしはその場にペタンと座り込んでしまった。
だけど、恐怖に竦んでいる暇なんてあたしにあるワケがなくて。
「しかし今日も疲れたな〜。イブくらい勉強すんの休みたいよ」
「あらら。受験生がそんなこと言ってていいワケ? 落ちるぞー」
わわっ、来た!!
授業が終わって、続々と階段を降りてくる足音によって塾の外に出ざるをえない状況にっ!!
なんとか腰を上げて外に出る。
すると───・・。
「あ。雪だぁ」
ふわり、ふわり、真っ白い小さな雪たちが静かに降り注いでいた。
天を仰いで、しばし見とれる。


