「もう2度と言わないから心して聞け。好きだよ、江田ちゃん」
先生のどこまでも俺様な台詞のあと・・・・唇に温かいものが触れた。
それは突然のことで。
何が何だか分からなくて、でも、聞こえた台詞や感じた先生の唇、抱きしめられる感覚・・・・そういうのだけは驚くほどリアルで。
唇が離れたとたん、堰を切ったように涙が溢れだしてきた。
「せんせっ、今、キキ・・・・キス」
「ああ、したよ」
「・・・・好きだよ、って」
「ああ、言ったよ」
泣きじゃくるあたしの頭を先生が優しくポンポンと撫でてくれる。
嘘じゃなかった。
聞き間違いじゃなかった。
あたしの“好き”が先生に届いたんだ、それに先生も“好き”で応えてくれたんだ───・・。
それからどれくらいだろう。
もうほとんどの涙は出尽くしていたんだけど、頭を撫でてくれる手があまりに心地よくて、あたしはその手にすっかり甘えていた。
「まだ涙出る?」
「うん、ビービー出てる」
「じゃあ、もう少しな」
「うん」


