36.8℃の微熱。

 
「もう2度と言わないから心して聞け。好きだよ、江田ちゃん」


先生のどこまでも俺様な台詞のあと・・・・唇に温かいものが触れた。

それは突然のことで。

何が何だか分からなくて、でも、聞こえた台詞や感じた先生の唇、抱きしめられる感覚・・・・そういうのだけは驚くほどリアルで。

唇が離れたとたん、堰を切ったように涙が溢れだしてきた。


「せんせっ、今、キキ・・・・キス」

「ああ、したよ」

「・・・・好きだよ、って」

「ああ、言ったよ」


泣きじゃくるあたしの頭を先生が優しくポンポンと撫でてくれる。

嘘じゃなかった。

聞き間違いじゃなかった。

あたしの“好き”が先生に届いたんだ、それに先生も“好き”で応えてくれたんだ───・・。





それからどれくらいだろう。

もうほとんどの涙は出尽くしていたんだけど、頭を撫でてくれる手があまりに心地よくて、あたしはその手にすっかり甘えていた。


「まだ涙出る?」

「うん、ビービー出てる」

「じゃあ、もう少しな」

「うん」