36.8℃の微熱。

 
突如、目の前が真っ暗になって、あたしの“きです”はたちまち悲鳴に変わってしまった。

なんてバッドタイミング!!

停電になるにしても、あとたった3文字じゃんか・・・・それさえも言わせてもらえないなんて、あたしってホント運がない。


「シーッ!うるさいっ、ちょっと黙って、江田ちゃん!!」

「いやいや、だって停電!!」

「いいから黙れって!!」

「そんなの無理ですよっ!! あたし真っ暗いのとか全然ダメで!! ・・・・ふぇ、怖いぃぃ〜」


あたしを落ち着けようとする先生の声が暗闇の中で聞こえる。

けど、その声だけで安心できるほど今のあたしは冷静じゃない。

すぐ目の前にいるはずの先生がなぜか見つけられず、右にヨタヨタ左にヨタヨタ・・・・ガツンッ!!


「いでっ!!」


手探りで先生の体にしがみつこうとしたら、机か椅子か、何かにつまずいてズテンとコケた。

停電のバカっ!

痛いじゃないのさっ!!


「ゴメン、江田ちゃん。俺、江田ちゃんが暗いのダメだって知らなかったから・・・・マジでゴメン」