「なんで、って言われてもなぁ。予感みたいなもの? 今日のこの時間のこの場所に、江田ちゃんが来そうな気がした」
先生はあたしを見つめたままそう言って、さらに優しく微笑む。
こんなに簡単に会えるとは思ってもいなくて、しかも、とろけちゃいそうなくらい優しく微笑んでもらえるとも思っていなくて。
嬉しい・・・・けど、苦しい。
胸が焼けるように熱くなって、あたしはとっさに目をそらした。
そうすると、あたしの動きを追ってすぐに目を合わせる先生。
「こっち見ろよ。俺に言いたいことがあって来たんじゃないの?」
と。
息がかかるくらい間近で言って、今度は俺様な顔で笑った。
「・・・・無理、です、言えません」
「なんだよそれ」
「だって!」
あたしだけを見ている先生とか、久しぶりの俺様発言とか、今も変わらず“江田ちゃん”って言ってくれるところとか。
なんかもう、先生の全部にいっぱいいっぱいになっちゃって・・・・。
何も言えない。
あたしの気持ちくらいとうにお見通しのはずなのに、ズルい。


