よく分からないんだけど、すごく近くで先生の声が聞こえてきて、なんと幻聴と会話まで・・・・。
夜風で思いのほか体を冷やしてしまったのか、耳が変。それに加えて頭も変になったのかしら。
・・・・いやいや、頭が変なのは元々だけど、にしても幻聴なんて。
ブンブンブンとかぶりを振って、しっかり自分!幻聴と会話をしてどうする!と言い聞かせた。
すると。
「幻聴だと思った? それはありえないでしょ、江田ちゃん」
「ん?」
「そんなにめかし込んじゃって、誰に告白するつもり?」
「んんん!?」
幻聴の先生の声がやけにリアルに耳に入ってきて───・・。
次の瞬間、肩をつかまれ。
直後、クルリと半回転させられ。
「ほら、本物。よく見て、俺」
そう言われて目を開ければ・・・・。
「せせせせ、せんせっ!!」
「久しぶりだね、江田ちゃん」
「ななっ、なんでっ!?」
見間違えるはずがない。
会いたくて会いたくてたまらなかった先生が、優しく微笑みながらあたしを見つめていた。


