36.8℃の微熱。

 
よく分からないんだけど、すごく近くで先生の声が聞こえてきて、なんと幻聴と会話まで・・・・。

夜風で思いのほか体を冷やしてしまったのか、耳が変。それに加えて頭も変になったのかしら。

・・・・いやいや、頭が変なのは元々だけど、にしても幻聴なんて。

ブンブンブンとかぶりを振って、しっかり自分!幻聴と会話をしてどうする!と言い聞かせた。

すると。


「幻聴だと思った? それはありえないでしょ、江田ちゃん」

「ん?」

「そんなにめかし込んじゃって、誰に告白するつもり?」

「んんん!?」


幻聴の先生の声がやけにリアルに耳に入ってきて───・・。

次の瞬間、肩をつかまれ。

直後、クルリと半回転させられ。


「ほら、本物。よく見て、俺」


そう言われて目を開ければ・・・・。


「せせせせ、せんせっ!!」

「久しぶりだね、江田ちゃん」

「ななっ、なんでっ!?」


見間違えるはずがない。

会いたくて会いたくてたまらなかった先生が、優しく微笑みながらあたしを見つめていた。