36.8℃の微熱。

 
「はぁっ、はぁはぁ・・・・」


わけもなく走って来てしまった、いつもの塾の、いつもの教室。

今日は終日この教室での授業はなかったらしく、電気をつけて中に入ると外と変わらない冷え具合。

けれど、駅からここまで走ったせいで体が熱いくらいのあたしには冷え具合がまだ足りなくて。

ガラガラ・・・・。

調子に乗って窓を開けた。


「先生はいつもこんな感じだったよね。柵に寄りかかって、こんなふうに足を交差させて」


さらに調子に乗ったあたしは、ベランダに出て居残りのときに先生がいつもしていた“一服タイム”を真似てみた。

のだけど。

う〜ん、涼しい!と夜風を浴びていられたのも、ほんのつかの間。


「ぶえぇぇぇっくしょい!!」


再び、ガラガラ・・・・。

5分と経たずに教室の中に戻り、窓を閉めきり、暖房をつけた。


「何やってんだ、あたし」

───「ホントな」

「だよねぇ。これから告白しようとしてる女子とは思えないよ、今のくしゃみ」

───「百年の恋も冷めるわ」

ほら、幻聴だ。