それからすぐに、あたしたちは慌てて家を出ることになった。
感動に浸りたい気持ちは山々だったのだけど、1階からお母さんが「2人とも、もう5時半過ぎたけど行かなくていいのー?」と声をかけてきたからだ。
「ユカ様、間に合う!? サトルさんと何時に待ち合わせだっけ!?」
駅に向かってひた走りながら、携帯でしきりに時間を確認しているユカ様に尋ねる。
今日はイブだもん。
クリスマスデートなんだって。
「6時!絶望的・・・・」
「うわーっ!! ゴメンー!!」
なんてこったい!
ユカ様はメイクに夢中で、あたしはずっと目をつぶりっぱなしで。
まさかそんなに時間が経っていたとは思ってもいなくて、遅くとも5時にはユカ様を送り出す予定がとんでもないことに・・・・っ!!
「それよか茜ちゃんは!? 今日は先生、休みじゃないんだよね!? メール送らなくて大丈夫!?」
「うん、大丈夫!! 出勤なのは確認済みだし、もし塾にいなくても部屋まで押しかけるからっ!!」
「大胆だこと!」
「へへっ。まあね!!」


