36.8℃の微熱。

 
内心は冷や汗ダラダラで眉毛の行方を心配するけど、ちょっとでも動いたらそれこそ“まろ”だ。

“まろ”になるか任せるかといったら、任せるしか方法はない。


「もういいよ。目、開けても」


2〜3分の後、ユカ様の許しが出てあたしはようやく目を開ける。

すると───・・。


「おぉ〜!! まろじゃない!!」

「そこですかいっ!」


いやいや、それだけじゃなくて。

鏡の中に映るあたしは、いつもの“あたし”からは想像もつかないほど大人びていて、まるで魔法にかかったみたいだった。

ファンデは薄付き、チークはほんのりピンク色、眉毛もいい感じ、艶めくグロスはモデルの善し悪しはともかくセクシーで。

アイメイクをマスカラだけにしたのがよかったみたいで、顔全体の印象を“ちょっと背伸びしてみました”的に演出していた。


「ユカ様ありがとぉ〜!! あたし見違えてる!! すごいよ!!」

「モデルがいいからね♪」


ユカ様はそう言うけど、ううん、これは100%ユカ様のおかげ。

ホント、すごい。ありがとう。