「女々しいヤツだって思ってたけど、今のでちょっと見直したわ。なかなか男だねぇ、浅野君」
徐々に小さくなっていく王子の背中にユカ様がポツリ、感心したようにつぶやいた。・・・・うん。
あたしも今、そう思ったトコ。
黙って頷くと、ユカ様はすかさず「惚れた?」なんて聞いてくる。
もぅ、これだからユカ様は・・・・。
「まさか。浅野君はあたしにとってやっぱり友だち。それ以上でもそれ以下でもないよ。でもさ」
「ん?」
「今の言葉にグッときた。来年は浅野君も好きな子と一緒にクリスマスが過ごせるといいな。あんなに優しいんだもん、浅野君を好きになる子、きっといるよね?」
「そうだね。きっといるね」
「うん」
そんな会話をしながら、あたしたちは王子の姿が廊下の角に消えるまで見送った。
あたしなんかが言えた立場じゃないけど、王子には幸せな恋をしてもらいたいなって思う。
本当にありがとう、王子。
「・・・・じゃあ、行こっか」
「うん」
そうして、あたしたちもまだ賑わいが続く教室を後にした。


