36.8℃の微熱。

 
ユカ様が来る前に王子にも話していたけど、今日の予定はこう。


終業式が終わったらユカ様に家に来てもらって、勝負メイクで気合いを入れてもらう。

それから、いつも居残りをしていた時間に間に合うように塾に行って、教室で先生に告白する。


同じ“告白”をするなら少しでもかわいいあたしで告白したくて。

もちろんそれで先生の気が変わるとは思っていないけど、普段自分でするメイクはお粗末極まりない適当メイク・・・・なものだから。

女心ってヤツだ。


そうして、シンプルだけどすごく重要な予定を頭の中でおさらいしながらユカ様と教室を出る。

なんかもう、考えただけで尋常じゃなく胸がドキドキだ。

ちょっと吐きそう、かも。

すると。


「茜!」


王子があたしを呼び止めた。

慌てて笑顔を作って「ん?」と聞くと、王子はたった一言。


「よいクリスマスを」


そう言ってサッと肩に鞄をかけ、ユカ様とあたしの脇をすり抜けて颯爽と帰っていった。

ありがとう、王子。

王子もよいクリスマスを・・・・。