36.8℃の微熱。

 
キッカケは些細なことだった。

初霜が降りた日の朝。

例のごとく電車に滑り込むと、いつもご夫婦が座るシルバーシートに高校生の男の子2人組がどっかりと腰を下ろしていた。


その2人組はご夫婦がそばに立っているを知ってか知らずか、目を閉じて下を向き、我関せずといった様子で眠りこけている。

足が少し悪いらしいおじいちゃんは杖をついていたんだけど、電車が揺れるたびにバランスを取るのがすごく大変そうで。

おばあちゃんは背が低く、つり革には手が届かない・・・・見ていて、すごく危なっかしかった。


「ここ、シルバーシートなんで」


危なっかしいのと同時に、思いやりのなさに腹が立ったあたしは、2人組を揺さぶり起こしてご夫婦に席を空けさせた。

本当に寝ていたのかどうかは本人たちのみが知ることだけど、だからってシルバーシートはあんまりだと思ったんだ、あたし。


シルバーシートや優先席はお年寄りや体の不自由な人、妊婦さん、そういう人たちのためのもの。

空けておくのは、あたしたちが思いやりの心で守る大切なルール。

でしょう?