36.8℃の微熱。

 
厳しい先生のこと。

もしかしなくても、悪気とか悪意とか、そういうつもりで言ったんじゃなかったんだろうけど。

前から先生の言い方にはトゲがあるなと思っていたから、余計に心にグッサリ刺さった。


厳しくするのが先生の教え方なんだということも分かる。

授業を進めたいのも分かる。

あたしにばっかり時間をかけていられないのもよく分かる。

けれど・・・・。

もう少し、もう少しだけでいいから、言い方一つで傷つく生徒もいることを認識してほしかった。





「───そういうわけで、あたしは数学を嫌いになったんです」

「そういうことだったの・・・・」


コクリ。

あたしは頷いた。

やばい、思い出しながらしゃべっていたら涙が出てきそう・・・・。


「でもさ」


と、タバコを吸い終わったらしい先生は、あたしに近づきながら言葉を続ける。

出かかった涙をキュッと目の奥に押し込み、先生を見上げた。


「俺もけっこう厳しいけど、江田ちゃんはブーブー言いながらもやるじゃん。どうして?」