けれど。
しまった!と1人でオドオドするあたしとは逆に、王子は何食わぬ顔をしてハンバーガーを頬張る。
「あ、あの〜・・・・」
「だからさっきも言ったでしょ。友だちとして話聞いてんの。先生が出てこようが俺はいいから」
もしかしたら、吹っ切れていないのはあたしのほうかもしれない。
王子は何度も“友だちとして”って言ってくれているのに、あたしってばビクビク、オドオド・・・・そればっかりでホント情けない。
あたしは先生が好き、だから王子の気持ちは受け取れない、そう自分で決めたことじゃないの。
しっかりしなさい、あたしっ!
「うん、じゃあ、遠慮なく先生のことも話させてもらうね」
そう言うと、王子はにっこりと笑って「それでいいよ」と。
あたしも本当に吹っ切れた気分になって同じように笑顔を返した。
「・・・・それでね、話を戻すと、先生は言ったのよ。“彼もユカ様のコト好きだよ、海の家で散々聞かされたしね”って」
シロップを混ぜ終えて、今度はあたしもハンバーガーの包みに取りかかりながら言う。


