36.8℃の微熱。

 
けれど。

しまった!と1人でオドオドするあたしとは逆に、王子は何食わぬ顔をしてハンバーガーを頬張る。


「あ、あの〜・・・・」

「だからさっきも言ったでしょ。友だちとして話聞いてんの。先生が出てこようが俺はいいから」


もしかしたら、吹っ切れていないのはあたしのほうかもしれない。

王子は何度も“友だちとして”って言ってくれているのに、あたしってばビクビク、オドオド・・・・そればっかりでホント情けない。

あたしは先生が好き、だから王子の気持ちは受け取れない、そう自分で決めたことじゃないの。

しっかりしなさい、あたしっ!


「うん、じゃあ、遠慮なく先生のことも話させてもらうね」


そう言うと、王子はにっこりと笑って「それでいいよ」と。

あたしも本当に吹っ切れた気分になって同じように笑顔を返した。


「・・・・それでね、話を戻すと、先生は言ったのよ。“彼もユカ様のコト好きだよ、海の家で散々聞かされたしね”って」


シロップを混ぜ終えて、今度はあたしもハンバーガーの包みに取りかかりながら言う。