36.8℃の微熱。

 
ヤキモキしているのはあたしだけで、先生は澄ました顔で言った。

あたしは、もう両想いのはずなのに2人が足踏みしているのがどうしても理解できなくて。


「・・・・じゃあ、今聞いたことをユカ様に言って、サトルさんに会いに行ってもらいます」


そう言った。

でも先生は首を縦には振らない。


「そんなことしたってユカ様は喜ばないよ。ただのお節介だ」

「そんな」

「江田ちゃんならどう? 好きなヤツの口からじゃなく、たとえ親友でも“他人”の口から気持ちを聞くの、嫌じゃない?」

「・・・・嫌、かも」


確かに先生の言う通り。

先生があたしのことを好きでも嫌いでも、それを他人の口からなんて聞きたくない。

直接言ってもらいたいと思う。


そっか、あたし、間違っていた。

サトルさんの気持ちが“好き”で固まっていたとしても、そこにはサトルさんにしか分からないことだってあるんだよね。

ユカ様のことばかりで頭がいっぱいになっていたけど、悩んだり葛藤したり躊躇したり・・・・サトルさんにだっていろいろあるんだ。