36.8℃の微熱。

 
「江ー田ーちゃーん!」

「しゅびばしぇん!!」


まつ毛の長さに気を取られていたら見事に何も聞いていなくて、先生にほっぺたをつねられた。

ほー、イタタタ〜。


「プッ。ブッサイクだなぁ」

「先生がそうさせたんじゃん!」

「元からじゃなかったっけ?」

「なにおぅ!?」


こんの、減らず口めが!!

ジンジン痛むほっぺたをさすりながら、先生をキッと睨み上げる。

つねられたところから先生の体温が入ってきて、否応なしにあたしの熱が上がるのも、きっとこの人は気づいているはず。

だから余計に悔しいのだ。

こういう人だってよく分かっているはずなのに、どうしても惹かれてしまうあたし自身が。


「ちょっとちょっと〜、そんなに睨まれると教えたくなくなっちゃうんだけど。ユカ様に学校休まれてもいいワケ?」


すると、そう言って先生がまたもや得意げな目で見下ろしてきた。

現金なヤツだと言われてもいい、あたしは尻尾を振って飛びつく。


「えっ!! 閃いたの!?」

「うむ」

「先生!」