あれまぁ、なんてことかしら。
視界に入れるのさえ申し訳なく感じてしまうほど、憂いのある遠い目と儚げな表情をして、先生が何やら考え込んでいた。
うん、セクシー魔王降臨。
その横顔、ス・テ・キ。
「・・・・」
声もかけられず、目もそらせず、そのまま見惚れてしまうあたし。
滅多にお目にかかれない先生の表情に体中が心臓になったみたいにドキドキして、顔も耳も手も・・・・どこもかしこも熱い。
でも、こういうのって“大人”の特権だよね、と悔しく思うあたしも、もう一方でいたりする。
15歳にゃできませんもん。
ちぇっ。ズルい。
「何見てんの」
そうしていると、視線に気づいた先生があたしに顔を向けた。
セクシーな表情はもうどこかへ飛んで、いつも通りの俺様魔王だ。
ああ、もうちょい見たかった!
「いえ、別に。なんでも」
「あそ。てか江田ちゃん、問題進んでんの? 俺の顔に見とれても構わないけど、解かないと帰れないよ? 忘れないで」
「!!」
図星だ、図星すぎる・・・・。


