「いやいや。なんでおでこ? キン肉マンじゃないんだしさ」

「・・・・」

「あ、知ってる? キン肉マン。おでこに肉って書いてあんの」


爽やかイケメン君が笑った。

あたしの勝手な印象は、彼はあんまり笑わなさそうなイメージ。

だったから、急にあどけない表情で「キン肉マン」って笑うそのギャップに驚いてしまった。


「うん。知ってる。タラコ唇の海パン男・・・・だよね?」

「そうそう。よく知ってるね。けっこう古い漫画なのに」


あたしのキン肉マン似の驚き方が相当ツボだったのか、まだ笑う爽やかイケメン君。

目の端に涙まで浮かべちゃって。

なんだか勝手に楽しそう。


「あたし、6つ離れたお兄ちゃんがいてね。それ読んでたから」

「へぇ〜。お兄さんもいるの」

「うん。大学3年」


勝手に楽しそうだけど、でも、少し挽回できた気分で嬉しい。

昨日話したのはユカちゃんだけだし、中学の友だちはみんな違う高校に行っちゃったし。

友だちができなかったら・・・・思っていたから、それだけで嬉しい。