36.8℃の微熱。

 
「江田ちゃーん、おーい」

「ギョエッ!!」

「だからさ、その驚き方はひどいって前も言ったでしょ。いつになったら俺の顔に慣れてくれるの」


それからどれくらいの間、ぼーっとしていたんだろうか。

気づくと先生の顔が超ドアップで目の前にあって、あたしは思わず変な声を上げてしまった。


「だだだだ、だって!」

「だって、何さ」

「なななな、何もっ」


近い、近い近い近い!

ドキドキするからあっち行って!!

そんな心の声はとうてい口にできるわけもなく、あたしは仰け反って先生の顔を遠ざけた。

・・・・まぁ、微々たるものだけど。


「ふぅ〜ん、そんなに俺のことがねぇ。やっぱ江田ちゃんだねぇ」

「はっ?」


すると、妙に納得した口振りであたしの顔を観察しはじめる先生。

顎に手なんかかけちゃって、探偵が謎解きをするときのようだ。

だから顔が近いってば!もう仰け反れない!・・・・けど、悔しいけどカッコイイぞこんにゃろぉ〜。

そうしてしばらく顔を観察した先生は、顎から手を放すと一言。