36.8℃の微熱。

 
すると───。


「そんなにフラれたときの気持ちが知りたいんだったら、俺に本気の告白してみる?」

「え」


そう言って、タバコを口の端にくわえた先生があやしく微笑んだ。

悪魔の微笑みだ、これは・・・・。


もしも今、先生に告白するのだとしたら、あたしの気持ちはどういう形であれ伝わる。

先生が“本気の”と言った以上、あたしだって本気で告白しなくちゃ意味がない。・・・・もともと本気なわけだけれど。

でも、それは同時にリアルに失恋するということにもなる。

今の先生の言い方は、そういう前提での言葉だったから・・・・。


「どうする? フラれたときの気持ち、知りたいんでしょ?」

「・・・・」

「それなら協力できるけど?」

「・・・・」


追い討ちをかけてくる先生。

俺様なのか、魔王なのか、はたまた悪魔なのか。

先生に踊らされるのは慣れているつもりだったけど、実はそうでもなかったのかもしれない。

限りなくゼロに近い選択肢を突き付けられて、あたしはただ固まることしかできなかった。