「・・・・よし、と。だいぶマシな顔になったな。これで外を歩いても大丈夫だ。誰にも怖がられたりしないと思うよ」
涙のあとを取り終わり、最後に頭をペンペンと叩くと、先生は満足そうにあたしから離れた。
ホントにもう、なんて言葉足らずな人なんだ、先生は。
それにひきかえ、余計なことはベラベラ、ベラベラと・・・・。
こっちはどれだけビックリしたことか、文句の一つでも言ってやらないと気が済まない。
「それに、顔色もだいぶよくなったね。さっきまでは顔面蒼白だったけど、今は血色が戻ってる」
けれど。
そんな台詞を優しい顔で言われてしまったら、出かかった文句も口の中で噛み潰すしかない。
あたしが単に気づくのが遅いだけかもしれないけど、でも事前に一言あってもいいんじゃないかな。
・・・・と、あたしは思う。
こういうドッキリは、ことごとく鼓動の速さに比例する。
「わざわざどうもありがとうございました!それじゃあ!」
ガラガラッ、バタン。
それを振り払うように勢いよく黒丸を降りて、道路に足をつける。


