36.8℃の微熱。

 
「・・・・よし、と。だいぶマシな顔になったな。これで外を歩いても大丈夫だ。誰にも怖がられたりしないと思うよ」


涙のあとを取り終わり、最後に頭をペンペンと叩くと、先生は満足そうにあたしから離れた。

ホントにもう、なんて言葉足らずな人なんだ、先生は。

それにひきかえ、余計なことはベラベラ、ベラベラと・・・・。

こっちはどれだけビックリしたことか、文句の一つでも言ってやらないと気が済まない。


「それに、顔色もだいぶよくなったね。さっきまでは顔面蒼白だったけど、今は血色が戻ってる」


けれど。

そんな台詞を優しい顔で言われてしまったら、出かかった文句も口の中で噛み潰すしかない。

あたしが単に気づくのが遅いだけかもしれないけど、でも事前に一言あってもいいんじゃないかな。

・・・・と、あたしは思う。

こういうドッキリは、ことごとく鼓動の速さに比例する。


「わざわざどうもありがとうございました!それじゃあ!」


ガラガラッ、バタン。

それを振り払うように勢いよく黒丸を降りて、道路に足をつける。