『どうだ、早かっただろ? さて江田ちゃんはどこにいる?』
勝ち誇ったような先生の声。
ワゴンの窓を全開にして、あたしの姿を探す先生が見える。
あたしはとたんに嬉しくなって。
「自販機の横!」
そう言うより早く、黒いワゴンに向かって走りだしていた。
こんな派手な登場のしかたで見間違うはずがない、先生の姿とその愛車・黒丸。
お父さんから譲り受けた車だそうで、黒丸という愛称もそのお父さん譲りらしい。
先生本人は嫌がっている愛称だけど、あたし個人としては、かわいらしくてとっても好き。
「先生!」
助手席側の窓から先生を呼ぶ。
あたしがいた自販機とは別の自販機のところを探していた先生は、後ろから呼ばれて「おわっ」と驚きの声を上げた。
「先生すごい!10分って言ってたのにまだ7分しか経ってないよ!あんこのためにありがとう!」
「さすが俺だろ? ほかの車の邪魔になるからとりあえず乗って」
自画自賛するあたり、やっぱり先生は俺様だけど、今回ばかりはその俺様ぶりが頼もしい。


