36.8℃の微熱。

 
ドンッ!!

王子を思いっきり突き飛ばす。

尻もちをついた王子は、自分がなぜ非難されているのかにやっと気づいた顔をしたけど。

でも、もう遅いの。

取り消せない。


「ご、ごめ・・・・茜。俺、そんなつもりじゃ───・・」

「もういい!あんこのことはあたしが探す!浅野君は帰って!!」


王子の言葉を遮り、あたしはそう力いっぱい叫んだ。

夕暮れの公園にはあたしたち以外に人はなく、蝉が終わりかけの夏を惜しむように鳴いているだけ。

そこに響いたあたしの声は、ひっそりと佇む公園の中にひどくやかましく反響していた。





尻もちをついたままの王子を残して、あたしは走って公園を出た。

家とは反対方向にさらに走り、数百メートルのところにあった電柱の横で足を止める。


・・・・今さら足が震えて。

あんこを探しに行かなきゃと焦る気持ちとは裏腹に、あたしの足は一歩も前に進まなくなった。

そのままヘナヘナと地面に座り込むと、涙がどっと溢れてくる。

王子の言葉が胸に突き刺さって、抜けない・・・・。