36.8℃の微熱。

 
「どどどど、どうしよう!どうしよう浅野君、警察に電話したほうがいいかな!? 何番だっけ!?」


パニックのあたしは携帯を開いても手が震えてボタンが押せず、ただただオロオロするばかり。

あんこが道を覚えているはこの公園までで、ほかの場所に1人で行けるわけはないんだ。

あたしが目を離したから、あたしがリードを外したりなんかしたから、あんこが行方不明に・・・・。


それに加えて、脳裏には最悪の場面がありありと浮かんでくる。

誰かに連れ去られる場面、道路に飛び出して車にひかれる場面。

もしもそれが現実に起こっていたら、これから起こるなら・・・・それは全てあたしの責任。


ペットを飼うことがこんなに重いことだとは思わなかった。

命を預かることがこんなに怖いことだとは思わなかった。


「・・・・ううーっ、あんこぉ〜」

「茜、とりあえず落ち着こう」

「あんこぉ〜、あんこぉ〜・・・・」


こらえきれずにうずくまって泣き出すあたしの背中を、王子が優しくさすってくれる。

大丈夫だから、大丈夫だよって。