「あたしもね、あんこ。分からないわけじゃ・・・・ないんだよ?」
お腹を撫でてやりながら、ドライヤーを持つ手を動かし続ける。
あたしはどうなりたいのか、どうしたいのか、海の家から帰ってきてからもずっと考えていること。
結局そこなんだ、っていうのは、いくらなんでも承知している。
あたし次第だ、と。
「前は勢いだけで突っ走ってたのにねぇ。最近じゃあどうよ?」
つぶらな瞳がこっちを見上げる。
あんこは、あたしが悩んでいるのに気づいているみたいで。
こうしてときどき、じっーと目を見てくるときがある。
「うんうん、大丈夫。思い詰めたりしないから。ありがとね〜」
その目が“大丈夫?”って言っている気がして、見つめられるたびあたしはそう言って笑うんだ。
笑っていないと、あんこがあたしから目を離してくれないから。
目を離してくれないと、かわいすぎて食べたくなっちゃうから。
・・・・うん、嘘だけど。
「よし!ほら、もういいよ!」
「茜〜!あんこの散歩、ちょっと行ってきてよー!」


