36.8℃の微熱。

 
「あたしもね、あんこ。分からないわけじゃ・・・・ないんだよ?」


お腹を撫でてやりながら、ドライヤーを持つ手を動かし続ける。

あたしはどうなりたいのか、どうしたいのか、海の家から帰ってきてからもずっと考えていること。

結局そこなんだ、っていうのは、いくらなんでも承知している。

あたし次第だ、と。


「前は勢いだけで突っ走ってたのにねぇ。最近じゃあどうよ?」


つぶらな瞳がこっちを見上げる。

あんこは、あたしが悩んでいるのに気づいているみたいで。

こうしてときどき、じっーと目を見てくるときがある。


「うんうん、大丈夫。思い詰めたりしないから。ありがとね〜」


その目が“大丈夫?”って言っている気がして、見つめられるたびあたしはそう言って笑うんだ。

笑っていないと、あんこがあたしから目を離してくれないから。

目を離してくれないと、かわいすぎて食べたくなっちゃうから。

・・・・うん、嘘だけど。


「よし!ほら、もういいよ!」

「茜〜!あんこの散歩、ちょっと行ってきてよー!」