36.8℃の微熱。

 
思ったことは口せず、それだけを言って、お母さんからタオルとドライヤーを受け取った。

6月の末あたりに、お兄ちゃんが友だちからもらってきたあんこ。

今ではすっかり江田家に慣れて、食い意地が張っているため、ちょっとばかしおデブ気味。

そんなあんこを連れて、あたしは自分の部屋に上がる。


「やぁねぇ、お母さんったら。はしたない言葉なんか使ってねぇ」


なんて話しかけながら、広げたタオルの上にあんこを乗せて、くるっと包んでタオルドライ。

いい感じに毛から水気が取れたら今度はドライヤーだ。

今は夏で暑いだろうから、ドライヤーのスイッチを『cool』にして全身をくまなく乾かしてあげる。

そうすると、あんこはとても気持ちよさそうな顔をして、あたしに無防備な姿を見せてくれて。


「あんこはホントかわいいねぇ。あたしとは大違い。比べるのにも気が引けちゃうくらいだよ」


いつの間にか、本音がポロリ。

口から飛び出していた。

素直に身を任せるあんこと比べてあたしときたら・・・・。

ホント、素直じゃない。