36.8℃の微熱。

 
「な〜んであんこはお母さんじゃダメなのかしら。茜にばっかり懐いちゃって」


悔しそうにお母さんが言う。

そりゃそうだ、日中は家にいないお兄ちゃんやあたしは、あんこと触れ合える時間が限られている。

朝とか夜とか、それくらいだ。

その点、専業主婦のお母さんは、好きなときに好きなだけ。

そりゃもう、ベッタリってくらいあんこと触れ合える時間がある。


けれどお風呂だけは、どうしてもあたしじゃないとダメみたいで。

今日はどんな理由でお母さんがお風呂に入れたのかは知らないけれど、結局こうなるんだから、あんこともども世話が焼ける。


「あんこだって、そんな怖い顔でお風呂に入れられたくないんだって。だから暴れたんだよ」

「そうは言っても。お母さんだってあんこがかわいいのよ?」


それは分かるけど。

ていうか、だったら〇ンコとか、ピーなことを言わないで。

ご近所さんに聞こえていたら、江田家全員が赤っ恥じゃないかっ。


「うんうん、分かったよ。あんこ乾かすから、タオルとドライヤー貸して。部屋でやるよ」