「ただいま〜」
「ちょちょちょ、ちょっと待ちなさいあんこ!アンタ、あんまり暴れると〇ンコって呼ぶわよ!」
「・・・・はっ?」
家に着くと“おかえり”の声もなく、代わりにお母さんのピーな言葉が飛んできた。
何事かと慌てて靴を脱ぎ捨て声のするほうへ駆けつけると・・・・。
江田家の愛犬・黒パグのあんこちゃんが、びしょ濡れのまま、捕まえようと追いかけるお母さんから逃げ惑っていた。
よく見ると、お母さんの手にはバスタオルとドライヤー。
・・・・なるほど。
今日はお風呂の日だったのか。
「お母さん、あんこのお風呂はあたしが入れるって決まりじゃん」
「ああ!茜!いたの!ほら、そっち行ったわよ、早く捕まえて!」
「いやいや、だからね」
あたしの姿を見つけたあんこは、藁にもすがるといった感じで一目散に走ってくる。
それをあたしは簡単に捕まえて、ひょいと胸に抱き抱えた。
・・・・ああ、ジットリだよあんこ。
あたしがお風呂に入れてあげられていたら、こんなジットリな体を抱かなくても済むのに。


