いいのか王子、アナタはそれで。
「一目惚れ」ってサラッと言ったけど、よーくよーく考えてみてはくれないだろうか。
机に荷物をぶちまける女子に一目惚れなんて聞いたことがない。
「浅野君の趣味、よく分からん」
分からん上に不可解だ。
永遠のナゾかもしれない。
「ハハッ。茜は分かんなくていいんだよ。誰かを好きだと思う理由なんて、本当はあってないようなものなんだから」
「・・・・そういうものかな」
「そういうものだよ」
「はあ、なるほど」
・・・・深い。深すぎて、これまたあたしにはよく分からん。
でも、王子が言うと妙に説得力があるのはどうしてなんだろう。
最初は半信半疑だったとしても、最後には“そうか”と納得させられる強い力を持っている。
例えば、今みたいに。
「だからさ、茜。アイツのことなんか考えてないで、目の前の俺とつき合ってよ」
「浅野君・・・・」
「俺、優しくするし、アイツみたいに茜を泣かせるようなことも絶対にしない。・・・・顔だって、そんなに悪くないじゃん」


