あたし、そんな顔を。
王子はあたしのこと、よく見てくれているんだな。
「余計なお世話っていうかさ、茜のことになると頭より体が動くみたいだ。・・・・ごめん」
「余計だなんてそんな。嬉しかったよ、とっても。さすがに昨日みたいなのはビックリだけどね」
「怒ってる?」
「ううん。怒ってない」
怒ってないけど、ただ、なんであたしなんだろうとは思っている。
それを伝えると、王子は照れくさそうにハハッと笑った。
「入学初日のときに、宇佐美さんに携帯の番号聞かれてたじゃん。でもなくて、鞄の中身を机に丸ごと出してたでしょ」
「そんなこともあったね。バカ丸出しで、今思い出しても顔から火が出そうだけど」
「そんなことないよ。俺、それ見てピンときたんだから。この子とつき合いたい、って」
「えっ!? そうなの!?」
そんなバカな・・・・。
自分で言うと悲しくなるけど、こんなおバカとつき合いたいなんて王子がバカになるよ。
「そうだよ。一目惚れだった」
「・・・・あたしに!?」
「そう」


