すると、お姉サマは「ううん」と言ってあたしの頭を上げさせた。
その声は思っていたよりずっと優しいもので、ホッとする。
「茜ちゃんって、実は相当モテるでしょ。これで3人目よ〜。これじゃあ、あたしたちが悪者よね」
「モ、モテ? ・・・・え、3人目ってなんのことですか?」
けれど、ホッとしたのも束の間。
モテるとか3人目とか・・・・全く見当のつかないことを言われて、頭が混乱してしまう。
・・・・あたしの前にも2人、同じようなことを言いに来た人がいたってこと? そういうこと?
「あ〜、茜ちゃんはやっぱり知らないよね。先生と、あなたと同級生の男の子。嘘ついてたことも謝ってたよ、先生」
「そ、そうなんですか」
「うん。それと、茜ちゃんが傷つくから店にはもう来ないでくれ、って。あの男の子にも同じこと言われちゃった。愛されてんね」
「いえ、そんなことは・・・・」
先生も王子もあたしのために言ってくれたんだ、あたしがただ泣いていたときに・・・・。
胸の中に嬉しさと申し訳なさが同時に込み上げてくる。


