36.8℃の微熱。

 
再び涙が込み上げそうになる。

ユカ様があたしを思ってくれる友情の深さは、それだけで温かい。

真剣に話を聞いてくれたり、自分のことのように怒ってくれたり、慰めたり励ましてくれたり・・・・。

もう十分だ。


「でもね、ユカ様」

「なによ!それ、ていやっ!!」


もうすでに塩を撒く練習をはじめたユカ様に、あたしは“いいの”と首を振る。

こういうことは、きっと自分で解決しなきゃならないことだから。

ユカ様の手を借りるのは、ルール違反なことのように思う。


「気持ちだけ。気持ちだけ、もらっておくことにする」

「茜ちゃん、だって・・・・」

「ううん、いいの。思ってることがあるんだったら言わなきゃ伝わらないもん。それに、言われっぱなしは性に合わないし。あたしはやればできる子だ!」

「・・・・そ、そう? 大丈夫?」

「うん!全然平気!」

「そっか。・・・・うん、分かった」


本音を言うと、お姉サマたちと会うのはもう二度と御免だけど。

そう言うと、ユカ様は「だよね」と言って笑っていた。