───トントン。
「茜ちゃん、具合どう?」
「・・・・ユカ様。まぁ、なんとか」
「うん」
お昼のピーク時が過ぎて一階も静かになってきた頃、ユカ様が様子を見に来てくれた。
あんまり食べたくないかもしれないけど・・・・と、小さなおにぎりと頭痛薬を持って。
それまでは、特にお腹が空いているとは感じなかったんだけど。
どうしてなんだろうな。
目の前に食べ物が出されると急にお腹が減って、ものの数分でおにぎりをたいらげていた。
「ごちそうさま。なんか久しぶりに家庭の味って感じで、ちょっと元気出てきた。ありがとね」
「ならよかった。あ、そうだ薬。早いトコ飲んでおかないとね」
そう言って、水が入ったコップと頭痛薬を差し出すユカ様。
あたしは、それを取るべきなのかどうなのか・・・・一瞬迷った。
「・・・・茜ちゃん?」
「あ!そんなにひどくもないし、食欲だってあるし。飲まなくてもいいかな〜って」
大丈夫、すぐによくなるから!とあとから慌てて笑顔を作る。
けれど・・・・。


