36.8℃の微熱。

 
───トントン。


「茜ちゃん、具合どう?」

「・・・・ユカ様。まぁ、なんとか」

「うん」


お昼のピーク時が過ぎて一階も静かになってきた頃、ユカ様が様子を見に来てくれた。

あんまり食べたくないかもしれないけど・・・・と、小さなおにぎりと頭痛薬を持って。


それまでは、特にお腹が空いているとは感じなかったんだけど。

どうしてなんだろうな。

目の前に食べ物が出されると急にお腹が減って、ものの数分でおにぎりをたいらげていた。


「ごちそうさま。なんか久しぶりに家庭の味って感じで、ちょっと元気出てきた。ありがとね」

「ならよかった。あ、そうだ薬。早いトコ飲んでおかないとね」


そう言って、水が入ったコップと頭痛薬を差し出すユカ様。

あたしは、それを取るべきなのかどうなのか・・・・一瞬迷った。


「・・・・茜ちゃん?」

「あ!そんなにひどくもないし、食欲だってあるし。飲まなくてもいいかな〜って」


大丈夫、すぐによくなるから!とあとから慌てて笑顔を作る。

けれど・・・・。