「ふ〜ん。江田ちゃんがそうまでして言いたくないんだったら、まぁ無理には聞かないけど」
先生はといえば、明らかに不審なあたしを見てもそう言うだけに留まってくれて。
納得したのかしていないのか。
いや、絶対にしていないだろうけど、それでもなんとか助かった。
でも、その代わり・・・・。
「か、顔!顔が近い!」
「いいじゃん、別に」
「よくないっ!集中できない!」
「バーカ。これくらいで集中できなかったら、いざというときどうすんのさ。江田ちゃんが思ってるよりずっと早いんだよ、大学受験なんて。すぐすぐ!」
と、訳の分からない理屈を並べてあたしの顔を間近で見る先生。
無礼に俺の顔を見たお返しだと言わんばかりの、なんとも不気味な魔王スマイル付きで。
先生を視界に入れないように頑張っているのにも関わらず、なぜかチラチラ確認してしまうあたしの悲しい性よ・・・・。
どうにかならないものか。
にしても。
先生とこれだけ普通に話せているなんて、もしやちょっとした奇跡でも起きているんじゃ・・・・?


