36.8℃の微熱。

 
「ふ〜ん。江田ちゃんがそうまでして言いたくないんだったら、まぁ無理には聞かないけど」


先生はといえば、明らかに不審なあたしを見てもそう言うだけに留まってくれて。

納得したのかしていないのか。

いや、絶対にしていないだろうけど、それでもなんとか助かった。

でも、その代わり・・・・。


「か、顔!顔が近い!」

「いいじゃん、別に」

「よくないっ!集中できない!」

「バーカ。これくらいで集中できなかったら、いざというときどうすんのさ。江田ちゃんが思ってるよりずっと早いんだよ、大学受験なんて。すぐすぐ!」


と、訳の分からない理屈を並べてあたしの顔を間近で見る先生。

無礼に俺の顔を見たお返しだと言わんばかりの、なんとも不気味な魔王スマイル付きで。

先生を視界に入れないように頑張っているのにも関わらず、なぜかチラチラ確認してしまうあたしの悲しい性よ・・・・。

どうにかならないものか。


にしても。

先生とこれだけ普通に話せているなんて、もしやちょっとした奇跡でも起きているんじゃ・・・・?