36.8℃の微熱。

 
あ、そうだった。

普通に電話に出ちゃったけど、今の時間は塾にいなきゃおかしい。


「うん、そうなんだけど・・・・」

『なんだ? いっちょ前にサボりか? オカンを悲しませるようなことはするなって言ったろ』

「いや、そうじゃなくて・・・・」


しどろもどろになりながら後ろの王子をチラッと見る。

ううっ、この状況をどう説明したらいいのか分からない・・・・。

っていうか、あたしが塾の時間だって分かっているならメールにしてくれたらよかったのに!

ホント融通がきかないんだから。


『まぁとにかくよ、帰りに牛乳忘れんな? 俺は今から大学の奴らと飲み会だから』

「そう・・・・」


どうりで聞こえてくる足取りが楽しそうなワケだ。

毎晩のように飲み歩くくせに単位を落とさないのが奇跡だよ。


『あ、それからもう1つ!茜の隣にいる奴、お前にしちゃいいの連れてんじゃねーの!しっかり送ってもらえ!』

「はっ!? お兄、見て・・・・ってかどこ!? えっ? えっ?」

『んじゃーなー』


プツッ。