「急に黙り込んだかと思ったら何だよそれ。ま〜た変な思い込みでもしてたんでしょ。しょうがない子だなぁ、江田ちゃんは」

「・・・・」


先生は、特に気に留めた様子もなくケラケラ笑った。

けれどあたしは、必ずしもそうとは言いきれないんじゃないか、とすごく不安になった。


自分でもけっこう思い込みの激しいほうだとは思う。

だけど、こんな俺様魔王に何度もドキッとするとは夢にも思っていなかったんだもん。

王子はともかく、こーんな人になんか・・・・こーんな、こーんな。


「さては江田ちゃん、俺に惚れたな?“キャッ!先生、小春さんよりあたしを選んでくれたのね♪ 好き好き!”・・・・みたいな?」

「キモっ!」

「あん?」

「あ。聞こえちゃいました?」

「バッチリ。次から居残りの問題量3割増しだから覚悟してね」


ノーーーーーン!!

ギラッと魔王スマイルをたたえて微笑む先生に、あたしは心の中でムンクのように叫んだ。

でも、分かったことが一つ。

やっぱりあたしは、先生なんか大っっっっっ嫌いだ!