「・・・・柊」
「小春・・・・」
見つめ合って何度もお互いの名前を呼び合う2人からは、さっきまでの凍った空気がどこにもない。
ピンク色のぽわ〜んとした花がフワフワ舞っている感じ。
仲直りできそうだ。
「あっ、パスタ」
そんな2人をしばらく見ていたあたしだったけど、人の幸せではお腹はいっぱいにはならなくて。
それに、ラブラブなところを見せつけられているような気も・・・・しないでもなくて。
「お邪魔虫は退散しまーす・・・・」
絶対2人には聞こえていないと思うけど、一応そう断ってから1人でパスタ屋さんに戻った。
もし呼ばれるまでに戻ってこなかったら、お店の人には『1人になりました』って言えばいい。
パスタの料金も、あとで利子でもつけて先生に請求すればいい。
ちょっとだけお洒落をした自分自身が何気に切なくもあるけれど。
だけど、いつもの俺様魔王じゃないと先生らしくないっていうか、調子が狂うっていうか・・・・。
「あ〜あ。次の居残りからまた復活するんだろうなぁ、先生」


