36.8℃の微熱。

 
「・・・・柊」

「小春・・・・」


見つめ合って何度もお互いの名前を呼び合う2人からは、さっきまでの凍った空気がどこにもない。

ピンク色のぽわ〜んとした花がフワフワ舞っている感じ。

仲直りできそうだ。


「あっ、パスタ」


そんな2人をしばらく見ていたあたしだったけど、人の幸せではお腹はいっぱいにはならなくて。

それに、ラブラブなところを見せつけられているような気も・・・・しないでもなくて。


「お邪魔虫は退散しまーす・・・・」


絶対2人には聞こえていないと思うけど、一応そう断ってから1人でパスタ屋さんに戻った。


もし呼ばれるまでに戻ってこなかったら、お店の人には『1人になりました』って言えばいい。

パスタの料金も、あとで利子でもつけて先生に請求すればいい。


ちょっとだけお洒落をした自分自身が何気に切なくもあるけれど。

だけど、いつもの俺様魔王じゃないと先生らしくないっていうか、調子が狂うっていうか・・・・。


「あ〜あ。次の居残りからまた復活するんだろうなぁ、先生」