しなやかな腕の祈り

住所の家は、日本でいう分譲住宅みたいな感じで、綺麗な所だった。
家の前には三台停まるくらいの駐車場があって、黒のCimaが止まっていた。



一歩一歩、近付いていく。空白の時間を埋めに、あたしは来た。
心臓が凄い音をたてている。
扉の前に立って深呼吸をする。表札には

『CHIAKI OHYA』


そう書いてある。心臓が破れそうだ。
会った所で何を話すのか???今更どうしようもないような事を考えてしまう。
ここまで来たけれど、帰れるなら帰りたい…来なきゃ良かっと言う後悔の気持ちまで出てきた。
口の中がやたらと渇く。どんな大きな発表会よりも、あたしは緊張していた。
荒れていた時に経験した、初めての喧嘩のときよりも。
本気で怒った秀一叔父さんを目の前にするよりも遥かに怖かった。



「ビビってても仕方なくねぇ??」



そう言葉に出して自分を励ました。




このチャイムを押せば、目的達成。頑張れ、あたし!!!!








ピンポン…