そんな彼と2人きりになるチャンスがあった。

進路指導週間だ。

彼の友達のS君はその日順番が最後のほうだった。

時間になるとS君が行く。
私と一緒にいたもう一人の人は指導真っ最中。

もう一人はわざと出ていった。

残ったのは私と彼。

席はそんなに離れてなかった。

でも3年になってホントに話せてなかったから話しかけるのに勇気がいる。

緊張する。

彼は惑星の本を見ていた。

将来は天文学者になりたいみたい。

静かな時間がずっと流れた。

もうたえられない!!

私は部屋を出てしまった。

友達は

「このバカ!」

と言う呆れた顔で見ている。

でも普通に考えて静かな図書館に2人きり。

先生もいない。

誰もいない。

そんな場所に好きな人とずっといられるわけがない。

長いこと彼と話をしてなかったからどう切り出せばいいかがわからない。

あの時の私はとてもたえられなかった。

でも今思えばあの時堪えとけばよかった。

あんなチャンスめったに来ないのに。