眠れぬ夜は、

君に会いたい…




なんであたしはいつもこうなんだろう。


好きなのに。


言葉が足りないのかな。




…寝れないよ。



隣にあったいつもの安心できる温もりが感じられなくて。


それが寂しくて、悲しくて、寒くて、どうしようもなくて。



「ヒック…─ヒッ…グス」

涙が止まらなかった。



泣いたって、仕方ないのに。


悪いのはあたしなのに。



止まることを知らない涙はどんどん枕を濡らしていく。


温もりが欲しい、よ…。





そんな時。


─パサッ

布団がめくれる音と同時に背中に暖かい温もりを感じる。


「…春、樹?ヒック…」


「他に誰がいるんだよ。」

「ヒック…いない、けど…。」

背中にかかる吐息がくすぐったくて気持ちいい。


だけど、これは現実…?



春樹の顔が目の前にある。

なんて…信じられない。
けど。




「また泣いてんのな。」


春樹はあたしを自分の正面に向かせると、頬に流れていた涙をぬぐった。



それは、誰のせいだと思ってる?


「だって…ヒック」

「何?」

「春樹、が。」

「うん。」

「いなく…ヒック、なっちゃうかヒック、と思った」


そこまで言って、あたしは春樹の腕に潜り込んだ。



「いるじゃんここに。
どこにもいかないよ。

だからもう泣き止んどけ。」


そう言って彼はあたしを抱き締める強さを強めた。


その温もりに安心して、あたしはやっと、眠りについたんだ。



─眠れぬ夜は─


君の温もりが必要なんだ。