俺の彼女

河土手にバイクを止めて
乾いた芝生に二人で座った


右の拳は切れていて
赤く血がにじみ出る


左の頬はジンジン熱を持ち
口の中は鉄の味がした



「芹澤が喧嘩するなんて何年振りだよ。」


ほとんど無傷に近い田牧は俺を見てクスッと笑った


「たまにはいいだろ。」



痛む上半身を誤魔化して寝そべった



空は暗くて
小さな宝石が無数に輝いていた



「なに、ムシャクシャしてんの?らしくないんじゃね?」



「は。
俺らしいって何よ?」


ムシャクシャに任せて拳を振り上げたさっきはスカッとしたのに



冷静になればなるほど
さっきの怒りが込み上げてきた