俺の彼女

携帯を抜いて
愛梨の番号にかける


着信に気づいて
慌てて携帯を取り出す愛梨の姿が見えた


クックックッ…
やっぱり笑える


『も、もしもし?』


見える距離にいるのに
声は受話器越しにしか聞こえない


「そこでバイトしてんの?」
笑いをこらえて話す俺

『うん…。ここ、私の家ですから。』



愛梨が店を見る


「そうなんだ。
俺、ここ通学路だから、明日から学校まで送ろうか?」



『えぇっ!!!!』


勢いよく愛梨は振り返る
全身を真っ赤にしてるのが
遠目にもはっきりわかった

「ハッハッハッ!
あんた、やっぱり面白いね。冗談だ…」


『バカっ!!』


俺の言葉の途中に怒鳴られて電話が切られた


キンキンする耳を触りながら

愛梨が店に入っていくのが見えた

背中からプンスカと蒸気が見えそうな位、巨体を揺らした荒っぽい歩き方だった



なんで…そんなに怒ってんの?


本当…面白いよ。


自分の顔が緩むのも気にせずバイクを走らせた